【系統利用ルール】ノンファーム型接続(再エネ導入拡大を目指す新たな系統接続ルール)

2023年4月1日からは、接続先の電圧階級や空き容量の有無に関係なく、原則としてノンファーム型接続が適用されるようになりました。

ここでは、ノンファーム型接続について、わかりやすく解説します。

目次

ノンファーム型接続とは

 発電設備で作った電気をお客さまに届けるためには、発電設備を電力系統に接続する必要があります。新たな発電設備を作るときは、まず初めに電力系統に接続することができるか確かめなければなりません。電力系統に接続することを「系統アクセス」、一般送配電事業者で実施する検討のことを「接続検討」と呼んでいます。

 「接続検討」の項目の一つに、送配電設備(送電線や変圧器等)の容量の確保があります。送電線には流せる電力の上限がありますので、新しい発電設備の電力を流せるだけの空き容量があるかを確かめます。

 電力系統に接続している発電設備は,需要や気象状況(日照・風況)に合わせて稼働するため,常に送変電設備の容量を使いきっているわけではありません。

 送電線などの送変電設備の空いている容量を活用し,新しい電源をつなぐ方法をノンファーム型接続といいます。ノンファーム型接続では,送変電設備の空いている容量を活用することから,送変電設備の事故や故障などがない平常時であっても,空いている容量に合わせて,出力制御を行います。

 平常時に発電するために必要な容量が確保されている(Firm:ファーム)従来の接続方式をファーム型接続と呼んでいます。一方,必要な容量が確保されていない(non-firm:ノンファーム)接続方式をノンファーム型接続と呼んでいます。

ノンファーム型接続が適用される系統と電源

2021年1月13日から、全国の空き容量の無い基幹系統以下に連系する電源は、原則ノンファーム型接続が適用されるようになりました。

また、2022年4月1日以降に接続検討の受付を行った案件のうち受電電圧が基幹系統の電圧階級である電源については、連系先の基幹系統の空き容量の有無にかかわらず、ノンファーム型接続が適用されるようになりました。

その後、2023年4月1日以降に接続検討の受付を行った電源は、接続先の電圧階級や空き容量の有無に関わらず、原則としてノンファーム型接続が適用されることとなりました。ただし、需要変動の影響を受け、出力予測や制御が困難な10kW未満の低圧電源は除かれます。

ノンファーム型接続では、送電線や変圧器の混雑時(流れる電力が運用容量を超過する又は超過するおそれがある状況)の出力制御(電源の出力減少)を前提とすることで、すみやかに系統連系することができます。

出典:電力広域的運営推進機関 系統の接続および利用ルールについて~ノンファーム型接続~

ノンファーム型電源の出力制御の仕組み

出力制御機器

ノンファーム型接続にて電源を系統接続する際は、一般送配電事業者が発信する出力制御スケジュール情報をオンラインで取得できる装置を設置する必要があります。

一般送配電事業者に接続検討申し込みをする際に、「ノンファーム型接続の同意書」を提出する必要があり、その中にこのオンライン出力制御機器に関する記載があります。

  • 系統混雑時の無補償での出力制御(オンライン制御)を前提に、系統連系開始までに出力制御に必要な機器を導入すること。
  • 出力制御機器の導入や出力制御は貴社の求めに応じること。

66kV以上の電圧階級では、一般送配電事業者からの出力制御スケジュール情報を専用回線を介して受信し、発電機出力が自動制御されるシステムを構築する必要があります。

66kV未満の系統でも、出力制御スケジュール情報を受信する装置は必要ですが、発電機の制御は、手動制御も認める条件が定められています。

出典:送配電網協議会 ノンファーム型接続に伴う出力制御機器の仕様について

メリットとデメリット

メリット

 発電設備を系統にアクセスするとき、容量が不足していると設備増設の費用を負担する必要があり、そのコストが非常に高額となり、発電設備新設の妨げとなっていました。

 ノンファーム型接続により、基幹系統への系統アクセスは必ずできるようになり、費用負担も大幅に減少することになりました。

デメリット

 一方、ノンファーム型接続では、系統の空いている時間を利用しますが、同じ系統に接続する発電設備が同時に最大の電力を送電した場合は、送配電設備(送電線や変圧器等)の容量が不足し、発電の抑制が必要になります。

 発電設備の建設時に想定した発電量が送電できないケースも起こりえますので、投資の判断がより一層難しくなると考えらえれます。 

まとめ:ノンファーム型接続

 ノンファーム型接続は、送配電設備の空いている容量を有効活用するための仕組みで、発電設備の基幹系統への系統アクセスが容易にできるようになりました。

しかし、発電設備の送電タイミングが重なった場合は、優先的に発電出力の抑制を行う必要があります。

 ノンファーム型接続を利用して発電設備を建設する場合は、出力抑制のシミュレーションを実施する等、出力抑制を見込んだ上で、事業採算性の検討を行う等、系統運用面の特徴を理解しておく必要があります。

DENLOG

下記の記事では、2023年4月1日より受付開始予定のローカル系統へのノンファーム型接続の適用について解説しています。

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