【系統利用ルール】ゾーン制(再給電方式から市場主導型への制度変更)

電力系統の設備には、流せる電力に上限が決められており、上限値以下に電力を抑制する仕組みの一つとしてゾーン制が挙げられます。ここでは、ゾーン制について簡単に説明します。

目次

ゾーン制とは

発電機で作られた電力は、電力系統を通って需要家に届けられます。電力系統には、流せる電力の上限が決まっているので、従来はそれ以下になるように発電機の系統への接続を制約していました。そのため、発電機がどのような出力値であっても電力系統の上限を超えることはありませんでした。(厳密には例外もあり、一般送配電事業者が上限を超えないように管理していました)

ノンファーム型接続という発電機の系統方式が採用され、電力系統により多くの発電機が接続できるようになったため、この上限値を頻繁に超過するようになると予想されています。そのため、上限値以内に抑制する仕組みが必要となり、現時点(2022.9)では、再給電方式という一般送配電事業者が抑制をコントロールする仕組みにより上限値を超過しないように管理されています。

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ゾーン制というのは、再給電方式に代わって電力系統の電力を抑制する仕組みのことです。

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電力系統に系統混雑(電力系統の上限を超過すること)が発生している送電線があった場合、その送電線を境にゾーンを区分します。卸電力取引市場(JEPX前日市場等)の取引では、様々な入札価格の供給力と需要を結びつけますが、このゾーン間で結びつく電力が電力上限を超過する場合は、入札価格の安いものから順番に電力上限に到達するまで約定処理を行います。

これにより、系統混在が発生した場合は、電力が不足しているゾーンは高い価格で、電力が余っているゾーンは安い価格で約定するようになります。ゾーン制は、市場主導型とも呼ばれ、市場取引を利用して、価格の安い発電機の電力を優先して活用することができ、社会的にもメリットがある方式と言えます。

広域機関 電力ネットワーク利用の改革 https://www.occto.or.jp/grid/public/riyoukaikaku.html#riyoukaikaku_kentou

日本ではゾーン制が既に導入されている

ゾーン制は、実は日本でも既に採用されています。

日本の電力系統は、9つのエリア(沖縄除く)に分かれて運用しており、それぞれのエリアを担当の電力会社が運用しています。各エリアは地域間連系線で接続されており、この連系線は電力広域的運営推進機関(広域機関)が運用しています。

2022年 広域機関 第1回運用容量検討会 資料1 https://www.occto.or.jp/iinkai/unyouyouryou/2022/unyouyouryou_2022_1_haifu.html

地域間連系線は、系統混雑することが多々あり、間接オークションという方式で管理されています。間接オークションは、JEPX前日市場において地域間連系線に系統混雑が発生した場合、入札価格の安い電源から優先的に利用できるようにしており、まさにゾーン制を適用していると言えます。

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日本では、9つのゾーンに分けてゾーン制により地域間連系線の混雑処理を行っていると言い換えてもよいでしょう。

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将来の見通し

国の審議会では、再給電方式に代わる系統混雑の処理方法として、ゾーン制やノーダル制が検討されています。

ゾーン制は、既に地域間連系線に適用されていますが、これを更に細かいゾーンに区分して地域内送電線にも適用することが検討されています。

現在の9つのゾーンは各電力会社の管轄エリアになっていますが、今後は、電力会社の管轄エリアがさらに細かいゾーンに細分化されていくイメージです。

ノーダル制は、簡単に言うと、そのゾーンが究極的に変電所の母線単位まで細分化された方式と言えるでしょう。

まとめ

ノーダル制は、電力系統の系統混雑を解消する仕組みの一つです。

市場主導型とも呼ばれ、市場取引に適用して価格の安い電源を優先的に利用することができます。

日本でも既に9つのエリア間の地域間連系線において導入されており、JEPXの前日取引において、価格の安い電源が優先的に地域間連系線を利用できるようにしています。今後は9つのエリアから更に細分化し、地域内送電線への適用が検討されています。

ノンファーム型接続の発電機が次々に系統に接続し、系統混雑が発生する送電線が増加することを見越した対応と言えるでしょう。

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