日本卸電力取引所（JEPX）の中で取引量がもっとも大きい、スポット市場についてわかりやすく解説します。
JEPX
日本卸電力取引所（JEPX：Japan Electric Power Exchange）は、2003年に電力自由化の流れを受けて、日本で唯一の卸電力取引所として設立されました。
JEPXで取引を行うには、取引会員になる必要があります。取引会員の要件は、電気の実物を扱う事業者であること、具体的には一般送配電事業者と発電量調整供給契約または接続供給契約を締結していることとなります。
そのため、一般の需要者が直接JEPXから電気を購入することはできず、必ず事業者を経由することになります。
取引会員数は、2022年10月27日時点で269社と非常に多くの事業者が登録しています。
スポット市場
翌日に受渡する電気の取引を行う市場です。一日を30分単位に区切った48商品について取引を行います。約定方式はブラインド・シングルプライスオークションです。
ブラインド・シングルプライスオークションとは…
入札価格によらず約定価格で取引されます。例えば、¥10/kWhで売りの入札を出していても、約定価格が¥15/kWhであれば、¥15/kWhで売られることになります。ブラインドとは、入札時に他の参加者の入札状況が見えないことを指します。
JEPX取引概要
当日市場（時間前市場）
一日前市場（スポット市場）で翌日に受渡する電気の取引がなされた後、実際の受渡までの間に不測の発電不調や需要急増が起こる場合があります。当日市場（時間前市場）はそのような翌日計画策定後の不測の需給ミスマッチに対応するための市場です。約定方式は、ザラ場を採用しています。
JEPX取引概要
計画値同時同量制度
電力は、電気をつくる量（供給）と電気の消費量（需要）が、同じ時に同じ量（同時同量）になっている必要があります。これらの量が常に一致していないと、電気の品質（周波数）が乱れてしまい、電気の供給を正常におこなうことができなくなってしまいます。
この電力の性質である供給と需要の同時同量を順守するために、小売電気事業者や発電事業者は、「計画値同時同量制度」というルールに従って、電気事業を行う必要があります。
計画値同時同量では、1日は30分毎の48コマに分割され、小売電気事業者は48コマ毎に顧客の需要を予測してそれに見合った供給力を調達し、予測した需要と調達した供給力をそれぞれバランシンググループ単位で計画に反映します。発電事業者も同じく、48コマ毎に発電する供給力とそれらの販売先をバランシンググループ単位で計画に反映します。計画は広域機関に提出され、各コマで需要と供給力が一致していることを確認しています。
DENLOG小売電気事業者は、48コマ毎に需要と供給力を一致させる必要があり、供給力の不足分や余剰分を調整するためスポット市場を活用しています。
発電事業者も供給力の余剰分を販売する場として活用しています。
スポット市場（１日前市場）
スポット市場では、翌日に受け渡しする電気の取引が行われます。毎日10時に入札が締め切られ、翌日分の取引計算が行われ、全体の約定結果はJEPXのホームページに公表されます。
スポット市場は，1日を30分毎の48コマに分割し、それぞれのコマを個々の商品として取引します。全国は9エリア（北海道、東北、東京、中部、北陸、関西、中国、四国、九州）に分けられており、入札者は、どのエリアでどのコマにどれだけの電力を売買するのか選択することができます。
スポット市場は，ブラインド・シングルプライスオークション方式で約定価格や約定量が決定されます。他の参加者の入札動向が開示されず、買い手と売り手の量と価格が一致する一点から約定価格が決定されるため、実際に入札した価格と約定価格は異なる場合がほとんどになります。
例えば、約定価格が20円であった場合、20円以上で入札した買い手は入札価格がいくらであろうと約定価格の20円で買うことができます。売り手についてはその反対で、20円以下で入札しておけば、20円で売ることができます。
日本卸電力取引所 取引ガイド（2019年1月22日更新 4,943KB）
DENLOG確実に供給力を調達したい場合（同時同量の順守等）は、非常に高い価格で入札しておき、実際は約定価格で購入するといったことが可能です。
ただし、供給力不足の状態で、非常に高い買い入札が増えると、売り入札が売り切れとなった瞬間に、本来の電力価値とは大きく乖離した価格高騰が発生します。
夏期や冬期の需要が増加する時期は、そのようなスポット価格の高騰がたびたび見られます。
詳しくは、需給曲線（JEPX入札カーブ）で解説しています。
まとめ：スポット市場
日本卸電力取引所（JEPX：Japan Electric Power Exchange）は、2003年に電力自由化の流れを受けて、日本で唯一の卸電力取引所として設立されました。JEPXで取引を行うには、取引会員になる必要があり、一般の需要者が直接JEPXから電気を購入することはできません。
スポット市場では、翌日に受け渡しする電気の取引が行われ、毎日10時に入札を締め切り後、全体の約定結果がJEPXのホームページに公表されます。
スポット市場は，1日を30分毎の48コマに分割し、それぞれのコマを個々の商品として取引します。全国は9エリア（北海道、東北、東京、中部、北陸、関西、中国、四国、九州）に分けられており、入札者は、どのエリアでどのコマにどれだけの電力を売買するのか選択することができます。
ブラインド・シングルプライスオークション方式が採用されており、他の参加者の入札動向が開示されず、買い手と売り手の量と価格が一致する一点から約定価格が決定されるため、実際に入札した価格と約定価格は異なる場合がほとんどになります。
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