ENERGY ADVISOR Report サンプル号

ENERGY ADVISOR REPORT
第1号 ─ 2026年3月22日(3月1日〜21日の審議会動向)
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ENERGY ADVISOR Report 創刊号をお届けします。本号では、3月1日〜21日に開催された電力制度関連の主要審議会・委員会から、特に注目すべき6つのトピックを取り上げます。制度検討作業部会では長期脱炭素電源オークションの第4回入札に向けた見直しや容量市場の指標価格改定が議論されました。OCCTO側では2026年度供給計画の取りまとめ、エリア別需給シナリオの策定、そして次期中給システムの基本設計完了が報告されています。
01

長期脱炭素電源オークション ─ LNG専焼の第4回募集継続と蓄電池・水素の制度見直し

制度検討作業部会 第112回(2026年3月4日)

第112回制度検討作業部会では、長期脱炭素電源オークションの第4回入札(2026年度)に向けた制度見直しとして、LNG専焼火力の募集量、蓄電池の約定方法、水素・アンモニアの事前審査要件の3つの論点が議論されました。第3回入札は2026年1月に応札が完了し、現在は電取委による応札価格の監視が行われています。

  • LNG専焼火力の募集を第4回以降も継続する方針。OCCTOの将来需給シナリオでは、2040年に需要が1.1兆kWhへ拡大するケースにおいて、経年火力3,900万kWを全てリプレースしてもなお1,300万kWの供給力不足が生じるとの試算が示されています。 資料3「長期脱炭素電源オークション」pp.5-7
  • 蓄電池の約定方法の見直しを検討。第3回入札までの蓄電池の応札・約定の実績を踏まえ、約定方法の改善が論点として提示されています。蓄電池は他電源と異なる収益構造を持つため、適切な評価方法の設計が課題となっています。 資料3 論点②
  • 水素・アンモニア混焼電源の事前審査要件を整備。2050年カーボンニュートラルを見据え、水素・アンモニア混焼・専焼電源が入札に参加しやすくなるよう、事前審査の技術的要件の見直しが議論されています。 資料3 論点③
今後の注目ポイント
第3回入札の約定結果が公表され次第、LNG専焼枠の具体的な募集量が決定されます。初回〜第2回で計約1,000万kWの募集量が設定された経緯があり、第4回の規模感が今後の火力リプレースの方向性を示す指標となります。

02

容量市場 ─ Net CONE引き上げと電源新設促進策の方向性整理

制度検討作業部会 第112回(2026年3月4日)

同じ第112回作業部会では、容量市場に関して4つの議題が取り上げられました。特に注目されたのが、電源新設を促進する施策の位置づけの整理と、指標価格(Net CONE)の見直しに伴う影響緩和措置です。

  • 電源新設は長期脱炭素電源オークションを軸に進める方針を再確認。容量市場は4年後の1年間に対する対価であるため、長期的な予見可能性の付与には限界があります。原則20年間の収入を保証する長期オークションが新設電源投資の中心的役割を担う方向性が示されました。 資料5「容量市場について」pp.4-5
  • Net CONEを最新の発電コスト検証WG値に基づき2.05万円/kWへ引き上げる見込み。上限価格は3.1万円/kW程度となる見通しです。段階的引き上げやシングルプライス領域への上限設定などが影響緩和措置として検討されています。 資料5 pp.10-11
  • 目標調達量の諸元を見直し。EUE算定における月の細分化、計画外停止率の最新データへの更新等が行われています。供給信頼度評価の精度向上を図る取り組みの一環です。 資料5 検討事項①〜③
今後の注目ポイント
Net CONEの引き上げ幅と影響緩和措置の具体的な適用時期が焦点です。小売事業者の拠出金負担増は電気料金に波及し得るため、緩和策の内容に注目が集まります。

03

ベースロード市場 ─ 第4回オークション結果と2026年度の制度改善

制度検討作業部会 第112回(2026年3月4日)

ベースロード市場の2025年度第4回オークション結果が報告されるとともに、2026年度オークションにおける市場範囲の拡大と値差対応の見直しが議論されました。

  • 第4回オークションの売応札量は約35.1億kWhで前年同期比235.6%と大幅増。一方、約定量は約0.5億kWhにとどまり、約定率は1.0%と低水準で推移しています。2025年度も大規模発電事業者の売応札はありませんでした。 資料4「ベースロード市場について」pp.3-6
  • 2026年度オークションの市場範囲とエリア区分の見直しを検討。これまでの取引実績を踏まえ、市場の流動性向上に向けた制度改善が議論されています。 資料4 議題2
今後の注目ポイント
大規模発電事業者が2年連続で第4回に不参加という状況は、ベースロード市場の構造的課題を示唆しています。2026年度の市場設計見直しにより改善が図られるかが注目されます。

04

2026年度供給計画 ─ 全国H3需要15,927万kW、供給信頼度の精度向上

調整力及び需給バランス評価等に関する委員会 第117回(2026年3月16日)

OCCTOの調整力委員会で2026年度供給計画の取りまとめ結果が報告されました。供給信頼度評価の精度向上策として、月別の前後半細分化や厳気象対応の見直しが反映された新たな諸元に基づく評価が行われています。

  • 2026年度の全国H3需要は15,927万kWと想定。偶発的需給変動対応は8.6%、厳気象対応は夏冬が2.4%、春秋が2.1%と設定されました。目標停電量(EUE)は0.058 kWh/kW・年となっています。 資料1「2026年度供給計画の取りまとめについて」p.3
  • 厳気象H1需要時の需給見通しでは、全エリアで広域予備率3%を上回る見込み。夏季(8月)の東京エリア予備率は7.9%、冬季(1月)は4.6%となっています。 資料2 pp.7-8
  • 厳気象対応分の算定方法を精緻化。需要の不等時性を考慮した需要減少率の見直しと、春季・秋季における月の前後半を考慮した簡易的手法が適用されました。 資料1 p.5, 資料2 p.8 脚注
今後の注目ポイント
冬季1月の予備率4.6%はやや薄い水準です。今冬の実績を踏まえた需要の精査結果と、柏崎刈羽6号機の営業運転開始時期が、2026年度の実際の需給バランスを左右する重要な変数となります。

05

将来需給シナリオ ─ エリア別配賦シナリオの策定開始と定期観測の初回結果

将来の電力需給シナリオに関する検討会 第11回(2026年3月10日)

2025年7月に公表された全国ベースの電力需給シナリオを踏まえ、第11回検討会ではシナリオの活用状況調査、定期観測(簡易分析)、そしてエリア別シナリオ策定の検討状況が報告されました。

  • 各種委員会でのシナリオ活用が進展。制度設計WGでは電力需給に関する将来のありうる状況を関係者で共有することの重要性が確認されました。広域系統整備委員会では、長期展望レビューにおける需要やロードカーブの設定に本シナリオの活用が提案されました。 資料1 pp.4-7
  • 定期観測(簡易分析)の初回結果を公表。2050年の電力需要は約8,900〜10,300億kWh(送電端)の範囲に収まる見通しです。データセンター需要は2050年に580〜1,510億kWh、半導体需要は80〜330億kWhと幅のある推計が示されました。 資料2 pp.3-5
  • 全国シナリオからエリア別への配賦方法を設計。需要18要素・供給力12要素のモデルケース別設定値を、世帯数、GDP、IIPなど各要素の特徴を踏まえた配賦基準によりエリア別に配分する手法が提案されました。 資料3 pp.2-5
今後の注目ポイント
エリア別シナリオが整備されると、送電網の増強計画や地域別の電源投資判断に直結する重要な基礎データとなります。特にデータセンター需要の立地偏在がエリア別需給に大きな影響を与えるため、動向の定期観測の精度が注目されます。

06

次期中給システム ─ SCUC/SCED実装の基本設計完了と需給調整市場の2026年度取引準備

需給調整市場検討小委 第60回 / 調整力委員会 第117回(2026年3月3日・16日)

送配電網協議会から次期中央給電指令所システム(中給)の基本設計完了が報告されました。全国の中給を1つの共通システムに統合し、SCUC/SCEDを実装することで系統混雑と需給調整コストの同時最適化を目指します。

  • 次期中給システムは「メインシステム+エリアシステム」の二層構成。メインシステムは需給機能を統合して1システムで処理し、災害対策として複数地点に広域分散配置されます。エリアシステムは各エリアに設置され、系統監視・制御と発電機への指令を担います。 資料4 pp.8-9
  • SCUC・SCEDにより全国大での費用最小化と混雑処理を同時に自動実現。従来のエリアごとの需給制御から、地域間連系線と地内基幹系統の混雑を同時に考慮した最適化が可能になります。発電機との伝送仕様もIEC 61850に統一されます。 資料4 pp.5-6, p.10
  • 需給調整市場の売買手数料を0.03円から0.06円/ΔkW・30分に引き上げ。一次〜三次①の前日化・30分化等に伴うシステム改修費用(+39.4億円)が主な増加要因です。4月1日実需給分から新単価が適用されます。 資料5 pp.3-5
今後の注目ポイント
次期中給システムの運用開始時期は未公表ですが、基本設計完了により詳細設計・開発フェーズに移行します。SCUC/SCEDの実装は将来的な同時市場の実現に向けた基盤技術であり、電力市場の効率化に大きな影響を与えます。

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